繋ぐはずのもの。だけどどこにも繋がらないもの。
2005年2月12日成人式の次の日に喧嘩して。
そのまま俺は一人で部屋に帰って。
こんな終わり方でいいのかよ?
そう自分に問い続けた。
もう遅いのかもしれない。
そう思いながら、次の日にメールで謝って。
次の週末にデートのやり直しの約束をした。
彼女がこっちに出てきてからは、一緒に出かけて一緒に帰るのが当たり前だったから。
池袋で待ち合わせなんて初めてで。
予報の雪とは違った冷たい雨になってしまったけど、以前にも二人で行った水族館へ。
二人で歩くときは、どちらからともなくいつかのように。
当たり前に手を繋いでいて。
それを不思議に思わなかった。
お互いにほんの少しの戸惑いは隠せないけれど。
ラッコの水槽の前にできた人の壁の後ろで、「目が乾いちゃった」って、暗がりで目薬を探す君を手伝って。
意外とラッコが大きくて熊っぽぃなんて、そんな話をしてた。
以前に来たときは気になるコトがあってそれどころじゃなかったんだよな。なんて思いながら。
少しして、目薬をしまった彼女がそっと俺の左手を取って、指輪を差し出した。
彼女の浮気を知った夜、俺が彼女に突き返したマリッジリングを。
その夜から4ヶ月以上経った今、彼女がなにを思ってそうしたのかはわからなかったけれど。
俺は左手を差し出してその指輪を受け入れた。
お互いに、そのことについての説明をしなかったし求めなかった。
何故なのかよくわからないけれど。
それをそのまま受け入れることが自然に思えたから。
あえて疑問には思わなかった。
俺は自分の首に手を回して。
2本の鎖の1本を外した。
誕生日に彼女がくれたペンダントのチェーンではなく。
もっと安っぽいボールチェーンを。
見えないように首からかけていた、あの夜同じように彼女から預かったマリッジリングを見せて。
少し驚いた顔をした彼女の左手を取って。
その薬指に指輪を返した。
そうして逢う数時間前まで、彼とのペアリングがはまっていたはずの薬指に。
それがわかっていたから複雑ではあったけれど。
長い時間をかけて二人で悩みながら選んだ、思い出の指輪を彼女が拒まなかったから。
考えないことにした。
お互いに薬指にマリッジリングをつけたまま、思い出の場所と、行ったことのない場所と。
二人の時間を楽しんだ。
それでも、帰ってくるアテがあるわけでもなく。
もう帰らないと言い切られるわけでもなく。
言葉と心の駆け引きを意識しないわけじゃなかった。
でもそれは恋愛のドキドキするような駆け引きじゃなくて。
自分の人生がかかったハイレートな駆け引きなのに。
切れるカードなんてとっくに使い果たしてる。
実弾込めたロシアンルーレットみたいなギャンブルで。
昔みたいに素直に楽しむのは難しいのも事実だった。
彼女がコインロッカーに預けていた少し大きめの荷物を取って。
二人で部屋に帰って。
そのまま数日間、二人で買い物に行ったり一緒に食事の準備をしたりして。
また彼女は出て行った。
押入れに入ってた彼女の荷物にはいくらかの服が詰まっていたようだったけれど。
着ないから置いて行っただけなのか、少しずつ荷物を持って帰ってきてるのか。
それすら俺にはわからなかった。
彼女が出て行った日の夜。
指輪が重く感じて外してみた。
4ヶ月振りにつけたはずの指輪には不思議と違和感もなく。
いつのまにか無意識に右手で左手の指輪を探している自分に気付いた。
結局はずした指輪をもう一度つけ直して。
くだらないことに気付く。
指輪を傷付けてしまいそうなときとか、外すのは自分でするくせに。
その度に彼女は外した指輪を俺のところへ持って来て「つけて」って甘えた。
指輪なんてしてなかったから全然気付かなかった。
一人だと指輪外しても自分で付け直すしかないのな。
同い年で遅生まれの友人と飲みに行ったら、厄年だからお守りのストラップつけてるとか言う話で。
去年厄年で散々だったし、まだ後厄残ってんだから御祓いしてきた方がいいよと薦められ。
無神論者もいいとこで、初詣も人が多いから行かないよーな俺が厄除けの御祓いとか行ってきたし。
祓ったあとにおみくじ引いたのに凶とか引くあたりもう人生がネタなんじゃないかと。
ちなみに内容は
失せもの:必ずみつかる
待ち人:遅くともくる
・・・・どんだけ待てばいいのか誰か教えてくれ。
結構切実に。
御祓いのあとに神棚に飾るためのお札みたいなものとお守りを頂いたのだが、さすがに神棚はないので食器棚の一部を片付けて飾った。
出来ることは概ねやった。
人事を尽くしたのなら天命を待つくらいしかないので神頼みもしてきた。
天命が死刑宣告であるかもしれないのだが。
現実的にいい加減離婚を考えなくもない。
来月には初めての結婚記念日とかあるわけですが。
新婚のはずなのに1年の半分以上も他の男と暮らしてるとか意味わかんねぇし。
他人事だったら「別れちゃえば?」って言ってるだろーしな。
だからって別れてどうなるんだ?とも思う。
今までに出会った人の中で一番好きになった人で。
彼女を誰よりも信じていた。
二人で過ごした日々は確かに幸せだったから。
一生こいつと生きていきたいと思った。
こいつと一緒に笑っていられる幸せな時間を作っていきたいと願っていた。
もしもこの先、誰かを好きになっても。
きっと俺は裏切られることに怯え続けるのだろうと思う。
”いつ”裏切られるのかを恐れて。
そうされないために縛る術を張り巡らせる。
満たされることを求めて、いつかそれを手に入れても。
きっと今度は失うことを恐れる時間が始まるだけ。
人は、世界は、俺を裏切る。
そんなことは知っていた。
裏切られ続けてきたのだから。
そんなことすら忘れていた。
忘れられていたのに。
忘れさせてくれたのに。
どこかで間違えたのは確かなんだろう。
どこから間違えたのかいくら考えても答えはでなくて。
そのくせ後悔してることはたくさんあって。
どこまで戻れたらやり直せるのかなんて、考えるだけ無駄で。
どうすればいいのかなんてわかるわけもなくて。
ただ悪戯に時を重ねてる。
毎日帰る部屋は、新婚の二人が住んでいるはずなのに。
そこはいつも冷え切って真っ暗で誰も居ない。
二人で笑ってられる時間のために働いていたはずなのに。
今は一人で膝を抱える時間のために働き続けてる。
俺が欲しかったのはこんなものじゃない。
俺はこんなもののために必死で生きてるわけじゃない。
俺の求めていたものは、なに一つここにはないのに。
どこでなにを間違えて。
なにをどうすればいいのか。
誰か教えてくれ。
信じられるものなどなにもないのに。
怯え続けて消耗していくだけの日々なのに。
幸せになどなれるはずもない。
もう永遠に、本当の幸せなんてものは俺にはありえないのだと考えずにいられない。
楽になりたい気持ちに潰されそうにもなる。
どっかで間違えてたんだろう。
けど俺はそんなに酷い間違いを犯してたのかな・・・?
自分は外すマリッジリングを俺の手につけたのは何故なんだろうな?
多少なりとも帰るつもりがあったから荷物を置いてったんじゃねぇのか?
また半端な望みを見せられて、いい加減疲れたと思ってるくせに。
俺は指輪を外せないでいる。
どこにも繋がっていないのに。
誰にも届かないのに。
そのまま俺は一人で部屋に帰って。
こんな終わり方でいいのかよ?
そう自分に問い続けた。
もう遅いのかもしれない。
そう思いながら、次の日にメールで謝って。
次の週末にデートのやり直しの約束をした。
彼女がこっちに出てきてからは、一緒に出かけて一緒に帰るのが当たり前だったから。
池袋で待ち合わせなんて初めてで。
予報の雪とは違った冷たい雨になってしまったけど、以前にも二人で行った水族館へ。
二人で歩くときは、どちらからともなくいつかのように。
当たり前に手を繋いでいて。
それを不思議に思わなかった。
お互いにほんの少しの戸惑いは隠せないけれど。
ラッコの水槽の前にできた人の壁の後ろで、「目が乾いちゃった」って、暗がりで目薬を探す君を手伝って。
意外とラッコが大きくて熊っぽぃなんて、そんな話をしてた。
以前に来たときは気になるコトがあってそれどころじゃなかったんだよな。なんて思いながら。
少しして、目薬をしまった彼女がそっと俺の左手を取って、指輪を差し出した。
彼女の浮気を知った夜、俺が彼女に突き返したマリッジリングを。
その夜から4ヶ月以上経った今、彼女がなにを思ってそうしたのかはわからなかったけれど。
俺は左手を差し出してその指輪を受け入れた。
お互いに、そのことについての説明をしなかったし求めなかった。
何故なのかよくわからないけれど。
それをそのまま受け入れることが自然に思えたから。
あえて疑問には思わなかった。
俺は自分の首に手を回して。
2本の鎖の1本を外した。
誕生日に彼女がくれたペンダントのチェーンではなく。
もっと安っぽいボールチェーンを。
見えないように首からかけていた、あの夜同じように彼女から預かったマリッジリングを見せて。
少し驚いた顔をした彼女の左手を取って。
その薬指に指輪を返した。
そうして逢う数時間前まで、彼とのペアリングがはまっていたはずの薬指に。
それがわかっていたから複雑ではあったけれど。
長い時間をかけて二人で悩みながら選んだ、思い出の指輪を彼女が拒まなかったから。
考えないことにした。
お互いに薬指にマリッジリングをつけたまま、思い出の場所と、行ったことのない場所と。
二人の時間を楽しんだ。
それでも、帰ってくるアテがあるわけでもなく。
もう帰らないと言い切られるわけでもなく。
言葉と心の駆け引きを意識しないわけじゃなかった。
でもそれは恋愛のドキドキするような駆け引きじゃなくて。
自分の人生がかかったハイレートな駆け引きなのに。
切れるカードなんてとっくに使い果たしてる。
実弾込めたロシアンルーレットみたいなギャンブルで。
昔みたいに素直に楽しむのは難しいのも事実だった。
彼女がコインロッカーに預けていた少し大きめの荷物を取って。
二人で部屋に帰って。
そのまま数日間、二人で買い物に行ったり一緒に食事の準備をしたりして。
また彼女は出て行った。
押入れに入ってた彼女の荷物にはいくらかの服が詰まっていたようだったけれど。
着ないから置いて行っただけなのか、少しずつ荷物を持って帰ってきてるのか。
それすら俺にはわからなかった。
彼女が出て行った日の夜。
指輪が重く感じて外してみた。
4ヶ月振りにつけたはずの指輪には不思議と違和感もなく。
いつのまにか無意識に右手で左手の指輪を探している自分に気付いた。
結局はずした指輪をもう一度つけ直して。
くだらないことに気付く。
指輪を傷付けてしまいそうなときとか、外すのは自分でするくせに。
その度に彼女は外した指輪を俺のところへ持って来て「つけて」って甘えた。
指輪なんてしてなかったから全然気付かなかった。
一人だと指輪外しても自分で付け直すしかないのな。
同い年で遅生まれの友人と飲みに行ったら、厄年だからお守りのストラップつけてるとか言う話で。
去年厄年で散々だったし、まだ後厄残ってんだから御祓いしてきた方がいいよと薦められ。
無神論者もいいとこで、初詣も人が多いから行かないよーな俺が厄除けの御祓いとか行ってきたし。
祓ったあとにおみくじ引いたのに凶とか引くあたりもう人生がネタなんじゃないかと。
ちなみに内容は
失せもの:必ずみつかる
待ち人:遅くともくる
・・・・どんだけ待てばいいのか誰か教えてくれ。
結構切実に。
御祓いのあとに神棚に飾るためのお札みたいなものとお守りを頂いたのだが、さすがに神棚はないので食器棚の一部を片付けて飾った。
出来ることは概ねやった。
人事を尽くしたのなら天命を待つくらいしかないので神頼みもしてきた。
天命が死刑宣告であるかもしれないのだが。
現実的にいい加減離婚を考えなくもない。
来月には初めての結婚記念日とかあるわけですが。
新婚のはずなのに1年の半分以上も他の男と暮らしてるとか意味わかんねぇし。
他人事だったら「別れちゃえば?」って言ってるだろーしな。
だからって別れてどうなるんだ?とも思う。
今までに出会った人の中で一番好きになった人で。
彼女を誰よりも信じていた。
二人で過ごした日々は確かに幸せだったから。
一生こいつと生きていきたいと思った。
こいつと一緒に笑っていられる幸せな時間を作っていきたいと願っていた。
もしもこの先、誰かを好きになっても。
きっと俺は裏切られることに怯え続けるのだろうと思う。
”いつ”裏切られるのかを恐れて。
そうされないために縛る術を張り巡らせる。
満たされることを求めて、いつかそれを手に入れても。
きっと今度は失うことを恐れる時間が始まるだけ。
人は、世界は、俺を裏切る。
そんなことは知っていた。
裏切られ続けてきたのだから。
そんなことすら忘れていた。
忘れられていたのに。
忘れさせてくれたのに。
どこかで間違えたのは確かなんだろう。
どこから間違えたのかいくら考えても答えはでなくて。
そのくせ後悔してることはたくさんあって。
どこまで戻れたらやり直せるのかなんて、考えるだけ無駄で。
どうすればいいのかなんてわかるわけもなくて。
ただ悪戯に時を重ねてる。
毎日帰る部屋は、新婚の二人が住んでいるはずなのに。
そこはいつも冷え切って真っ暗で誰も居ない。
二人で笑ってられる時間のために働いていたはずなのに。
今は一人で膝を抱える時間のために働き続けてる。
俺が欲しかったのはこんなものじゃない。
俺はこんなもののために必死で生きてるわけじゃない。
俺の求めていたものは、なに一つここにはないのに。
どこでなにを間違えて。
なにをどうすればいいのか。
誰か教えてくれ。
信じられるものなどなにもないのに。
怯え続けて消耗していくだけの日々なのに。
幸せになどなれるはずもない。
もう永遠に、本当の幸せなんてものは俺にはありえないのだと考えずにいられない。
楽になりたい気持ちに潰されそうにもなる。
どっかで間違えてたんだろう。
けど俺はそんなに酷い間違いを犯してたのかな・・・?
自分は外すマリッジリングを俺の手につけたのは何故なんだろうな?
多少なりとも帰るつもりがあったから荷物を置いてったんじゃねぇのか?
また半端な望みを見せられて、いい加減疲れたと思ってるくせに。
俺は指輪を外せないでいる。
どこにも繋がっていないのに。
誰にも届かないのに。
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