左耳にだけ大きめのピアス。
それがあの頃の僕のスタイル。
「親がうるさいんだよね」そう言いながら、君が開けていた右耳のピアス。

「二人の身体に消えない印をつけたい」
そんな君を愛しいと思った。

ロマンチックさなんかからは程遠いラブホの洗面台で、互いの耳にピアッサーをあてて。
互いの想いを打ち込んだんだ。
お互いがお互いのものである印に、互いの身体に痕をつけた。
僕が誕生日やイベントによくピアスをプレゼントしたのは、その想い出が好きだったから。
「落とすのが怖くて」
そう言って誕生日なんかに贈ったものはあまりつけてくれなかったけど。
安物でも、二人で選んで君が喜んでくれればそれでよかった。

君を傷付けることが怖かった。
泣かせたくなかった。
護りたかった。
なのに僕が君を傷つけて、たくさん泣かせてしまっていたんだね・・・
意図的に付けた初めての痕は、僕の決意でもあったのに。
もう一度君に誓いたいよ。
今度こそ一緒に幸せになりたい。

君が部屋を出て。
二週間近く経って久し振りに君と逢った。
することのない週末に、渡せるあてのないプレゼントを買ってた。
君の好きな蝶のデザインのピアス。
受け取った君がその場でつけてくれただけでも嬉しかった。
君はもう、あの頃の気持ちなんて忘れてしまったのかな・・・

僕らの指からマリッジリングは消えてしまったけど。
互いにつけた痕は消えない。
それだけは、いつまでも君とつながっている。

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K

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